当店では,機械による大量生産を行わず,県内産を主体とする原料にたっぷりと手間と時間をかけ,昔通りの製法と昔通りの木製の大桶で,自然の力(熱)をもとに製造しています。昔ながらの醤油・味噌の醸造技術は伝統的な産業文化であるとの観点,および,できるだけ自然の力による食品製造が望ましいとの観点から,昔通りの製法と道具による醸造・製造方法を保持しています。
仕込み(工程1〜6)
醤油の仕込みは,1年に1回,2〜3月頃に行われます(寒仕込み)。醤油の主原料は粉砕された脱脂大豆と小麦であり,これらを麹にした後,塩水に入れます。
工程1:大豆(脱脂大豆蒸し)
工程2:小麦との混合
工程3:麹の種付け
工程4:麹室への盛り込み
工程5:麹室にて麹の作成(製麹)
醤油桶での発酵
諸味の作成
左側写真:粉砕脱脂大豆を床に盛り,熱湯を掛けて蒸らします。
右側写真:続いて,釜の上に載せた甑の中に粉砕大豆を運び入れ,釜の火で本格的に蒸します。
左側写真:当初,黄白色だった脱脂大豆は,蒸すことによって暗褐色に変化します。蒸した脱脂大豆を甑から取り出し,粉砕小麦とよく混ぜます。続いて,麹菌を撒き,再びよく混ぜます。
右側写真:麹室に運び込み,積み重ねた木の折(おり)の中で醤油の麹を作成します(3日間麹菌の活動に適した温度に保つ)。
工程6:麹出し・塩水混合
右側写真:麹室の折の中で作成された醤油の原料の麹(小麦と大豆の麹)。下写真:醤油蔵に並べられた醤油桶。中に塩水を溜め,その中に出来上がった麹を入れます。右下写真:醤油桶の塩水中に入れられたばかりの小麦と大豆の麹(発酵前)。
工程7:発酵による醤油諸味(もろみ)作成
上槽(ふねかけ)
工程8:上槽:諸味から醤油を搾る
火入れ(精製)
工程9:火入れ:醤油を大釜で熱し発酵を止める
瓶詰め
完成
工程10:
冬
春
夏
醤油桶の中の塩水と小麦・大豆の麹の混合物は,春から夏の自然の熱によって発酵し,諸味になります。
左側写真:初夏から夏にかけては発酵が進み,諸味の表面に気泡が多数現れます。
右側写真:仕込み直後から,発酵が進んでいる間は,頻繁に「櫂を突く(櫂棒で諸味をよく攪拌する。空気を中に送り込むため)」必要があります。
秋
春夏秋を経て完成した諸味を布の袋に詰めて搾ります。
諸味完成後随時
左側写真:桃桶(桃の形をした手桶)を使って,諸味を長方形の布の袋に次々と詰めていきます(袋は250枚ほど使います)。
左下写真:諸味を入れた布の袋を,槽(ふね)と呼ばれる木の枠の中に入れて横に並べ,さらに上に積み重ねて行きます。
右側写真:木の槽(ふね)から搾られた醤油が手前の水槽に流れ落ちているところ。諸味を入れた袋を積み重ねると,最初は自重で醤油が搾られます。その後,油圧式の加圧器(緑の筒は圧力シリンダー)を使って圧搾します。
左側写真:大釜での火入れ作業。搾った醤油を83℃まで煮て,発酵を止める。
下側写真:火入れを行った直後の醤油は,店頭の貯蔵用木桶に運ばれます。まだ熱いため,湯気が立ち上ります。
上槽に引き続き,搾られた醤油の火入れを行います。大釜で醤油を83℃まで熱し,発酵を止める作業です。
一升瓶もしくはペットボトルに醤油が詰められて完成です。
越後高田醤油味噌天然醸造工房